市場との対話
毎朝5時前に豊洲へ。競りの前に魚と向き合い、その日の状態を体で覚える。同じ魚でも、昨日と今日は違う。
PROWは2012年、東京ミッドタウンに開いた小さなカウンターです。派手な看板も、派手な装飾もありません。ただ8席のヒノキのカウンターと、毎日市場から届く魚があります。
「寿司とは、魚を殺す行為ではなく、魚の命をどう美しく届けるかを考えることです。市場で魚と出会った瞬間から、すでに仕事は始まっています。締め方、熟成の長さ、握る温度、提供する順番。すべてはその魚が『今』最も美しい状態になるための計算です。」
「お客さまがカウンターに座ったとき、私はすでにその日の魚の声を聞いています。脂が上がっているか、身が締まっているか。会話は最小限でいい。沈黙の中で、魚の味が一番よく聞こえる。」
— 店主 佐藤 隆
毎朝5時前に豊洲へ。競りの前に魚と向き合い、その日の状態を体で覚える。同じ魚でも、昨日と今日は違う。
米は新潟産のコシヒカリを独自にブレンド。酢の配合は季節で変える。夏は少し酸を強め、冬はまろやかに。
握りの圧力は魚の厚みと脂で変わる。同じ魚でも一貫ごとに指の感覚を調整する。10年経ってもまだ学ぶ。
客の呼吸、会話の間、酒の進み具合。すべてを読みながら、次の魚をいつ出すかを決める。派手なサービスではなく、静かな配慮。
テーブル席では見えないものがある。職人が魚を捌く手つき、包丁の角度、米を握るときの指の動き。PROWのカウンターは、客が職人の仕事に立ち会うための場所です。8席という数は、魚の状態を全員に平等に届けられる限界でもあります。